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Hannover Messe 2023 視察レポート

3月末のMWC Barcelona 2023視察から1か月ぐらいしか経っていませんが、今度はHannover Messe 2023(以降、HM23)に行ってまいりましたので、レポートしたいと思います。

尚、ご同行いただいたパートナー各社様には、改めてこの場をお借りして御礼を申し上げます。

2019年に視察して以来、4年ぶりのHannover Messeです。

今回のHM23は、4/17(月)から4/21(金)の5日間開催で、来場者は13万人もいたそうです。

メインテーマは「Industrial Transformation – Making the Difference(インダストリアル・トランスフォーメーション—変化をもたらす)」。

2019年のときは、21万5000人だったそうで、今回はそこまでいかなかったようですが、感覚的には活気のあるリアルなイベントが戻ってきたなという感じでした。

ただ、前回は概ねほとんどのホールが出展社ブースで埋まっていたので(日本企業も多く出展してましたし)、それに比べると、やはり以前の活況な頃に戻るには、まだもう少しかかるかなという印象です。

HM23のキートピックは、インダストリー4.0、カーボンニュートラル生産、AI&マシンラーニング、エネルギー管理、水素&燃料電池の5つ。

その中から、我々が視察メインとしたインダストリー4.0とAI&マシンラーニングを中心にご紹介したいと思います。


目次[非表示]

  1. 1.インダストリ4.0
    1. 1.1.デジタル化(OTネットワーク、ローカル5G)
      1. 1.1.1.Cisco Systems
      2. 1.1.2.Nokia
      3. 1.1.3.YASKAWA
      4. 1.1.4.OT Security
    2. 1.2.AI&マシンラーニング
      1. 1.2.1.クラウド活用
    3. 1.3.その他
      1. 1.3.1.エネルギー関連
      2. 1.3.2.Startup関連
  2. 2.AUTOSTADT見学
  3. 3.番外編



インダストリ4.0

デジタル化(OTネットワーク、ローカル5G)

Cisco Systems

IoTポートフォリオラインナップのOverviewを解説いただき、IR/IE/CURWBとRealWear w/Webexを紹介してもらいました。用途やUse caseを交えながら紹介いただいたので、同行いただいたパートナー様にも非常に分かりやすかったと思います。

また、サイロで場当たり的なOTネットワーク解消のために、Factoryネットワークデザインの重要性をCisco Validated Designでアピールしていました。


Nokia

イメージ的には、MWC Barcelona 2023の縮小版といった感じで、MXIEとアプリケーションエコシステム連携を中心にアピールしていました。
デモエリアでは、Manufacturingの製造工程を模したデモとAMR自動搬送デモ、プラントのプロセス監視デモを紹介いただきました。

プロセス監視は、TAQTILE/crosser/AtoSと共創したシステムとなっていて、ダッシュボードでタンク内液体量や流量などを可視化し、閾値を超えたらアラートをあげるといったものでした。

映像での監視やセンシングデータのゲートウェイとしては、産業用ローカル5Gルータ(FRRO501c)を活用していました。


YASKAWA

YASKAWAはロボットデモとi-Mechatronicsソリューションなどを展示していました。
スマート工場化に向けたソリューションと青い大きなロボットいうことで、多くの人の興味を引いていました。

特に目を引いたのは、RJ45コネクターのピッキングデモ。
振動している台の上で、コネクタの爪が上を向いたタイミングでロボットアームがピッキングするという動態デモを実施していて、RJ45コネクタということで興味をそそられてしまいましたw


OT Security

OT securityも製造現場にとっては、必須となる対策事項のひとつです。

Cisco SystemsやMicrosoftなどは、ブースでOT Securityソリューションを展示していましたが、特設エリアもあって、そこでは、FortinetやNOZOMI networks、TXone networksなどが出展していました。

エリア全体としては狭く、各ブースも小さかったので、それほど目立った感じはしませんでしたが、モノづくりのための重要な設備や資産を守るという観点で、OT Securityは必要不可欠ですので、日本の中で市場として浸透していくよう、更なる活動をしていきたいと思います。



AI&マシンラーニング

クラウド活用

製造業におけるクラウド活用といった観点では、やはりMicrosoft、AWS、Googleが目を引くものがありました。

特に、MicrosoftはAzureベースで多くのソリューションを出展していて、川崎重工とのリアルタイムなインダストリアル・デジタルツインが印象的でした。

複数拠点にまたがった統合管理ができるデジタルツインで、成田拠点とハノーファー間をつないだデモを実演していました。拠点間の状況比較ができ、有事の際は、Hololens2で遠隔支援することもできるそうです。

また、AWSのクラウドMESやクラウドPLCは、今後非常に期待されるソリューションではないかと感じました。現場に置かれているMES/PLCをクラウド化することができれば、現場にMESを配置したり、PLCをばらまく必要も無くなるので、スマート工場に適したソリューションになるかもしれませんね。
クラウドやエッジからコントロールするとなれば、全体的な遅延解消のひとつとして、ローカル5Gとの組み合わせなども必要不可欠になってくるかもしれません。

その他にも、OMRONとNokiaのAGV/AMRの自動化デモやMicrosoftとRockwell Automationの共創によるAI/マシンラーニングの工作機械の自動化デモなども多くの人が興味を持って見ていました。


また、インダストリアル・メタバースといった点では、シュナイダーやSIEMENS、SAPなどが出展デモしていて、デジタルツインをコラボさせる意味合いで大盛況でした。


飛ぶ鳥を落とす勢いの”Genatative AI”と連携させたソリューション展示もあり、ロボットとインタラクティブに会話しながら作業を進めることができるといったものでした。

労働者不足対策や”変革”といったことを考えると、製造業にとって、AIやマシンラーニング、インダストリアル・メタバースは重要な要素になってくるでしょう。

その他

エネルギー関連

今回のHM23では、時間がなく、エネルギー関連をあまり見ることができなかったのですが、大型蓄電池やHydrogen(水素)、サステナビリティ、グリーン(運営効率化、省電力化など)に関連した商材を出展している企業が多かったのも印象的でした。

HM23が始まるちょっと前の4/15に、国内すべての原子力発電所の停止を目指してきたドイツでは、稼働していた最後の3基の原発が送電網から切り離され「脱原発」が実現しました。今後、再生可能エネルギーを柱に電力の安定供給を続けられるかなどが課題となってくるんだと推測します。

今現在、ドイツ国内の電気料金は、前年度からほぼ倍になったとのこと。
日本の電気料金も高騰していますし、同じ課題をドイツは抱えているということですね。


Startup関連

あまり見れずでしたが、でもデスクトップ3Dプリンターはすごかったです。
工作機のように大きかった3Dプリンターが、食洗器や電子レンジサイズになっているとは!
ヘルメットやインプラントなど、様々な3D印刷製品がならんでました。


ネットで調べたところ、既に3万ぐらいで手に入るということを知りました。(これまた驚き)
値段はピンキリみたいですけど、フィギアなど、簡単に家庭で作れちゃうってことですね。
まぁ、当然、作れる素材の種類や精度、大きさ、品質などが工業用デスクトップ3Dプリンターとは大きく違うんだと思いますが、3Dプリンターが手に入る世の中になったんだなと実感しました。


AUTOSTADT見学

今回、AUTOSTADT(アウトシュタット)見学ももうひとつの目的でした。
こちらに関しても少しご紹介したいと思います。


AUTOSTADTとは、ドイツ語で”車の街”という意味で、フォルクスワーゲン(以下VW)本社工場の隣にあるテーマパーク(のようなもの)になります。ドイツ真ん中ちょい上のウォルフスブルクという都市は、フォルクスワーゲンを作るために作られた街という感じで、巨大な敷地にVWグループ各ブランド(VWはもちろん、アウディやポルシェなど)のパビリオンが点在していて車のテーマパークといった趣です。ここに、ゴルフとティグアンを製造している工場があって、製造工程を見学できるツアーがあり、それに参加してきました。

一般客向けの工場見学コースとのことだったので、あまり期待せずに行ったのですが、これがまたすごくいい工場見学でした。
実際に車を作っている工程を全て見ることができるすばらしい内容でした。
そりゃー、年間約200万人訪れるというのも納得です。
下の写真は、納車される車が収納されているタワー!

ボディーを作ってドアやボンネットをロボットが自動で組み立てていくところやエンジンを組み込んだり、パーツを取り付けたり、最終的な車両チェックまでをガイド付き(英語とドイツ語ですが)で見学できるというものでした。
80%も自動化されているそうです!
これは日本の自動車工場では見られない内容だと思いますので、もしドイツに行く機会があれば、またフォルクスワーゲンファンであれば、是非立ち寄って見てください!
ちなみに、Wi-Fiはどこのものだ?と調べたら、Arubaでした。


番外編

こちらは、ブラウンシュヴァイクで宿泊した池の中にあるホテルとそのまわりを朝ランしたときの風景


ドイツといえば、やっぱりビールとソーセージですよね♪


ブラウンシュヴァイク&ハノーファー近郊の風景

来年もHannover Messeに行って、視察レポートしたいと思います!


関連ブログ

  Hannover Messe 2019 視察レポート(前編) | ネットワンパートナーズ株式会社ブログサイト ネットワンパートナーズ株式会社ブログサイト
  Hannover Messe 2019 視察レポート(後編) | ネットワンパートナーズ株式会社ブログサイト ネットワンパートナーズ株式会社ブログサイト
  Hannover Messe & CeMAT 2018視察レポート | ネットワンパートナーズ株式会社ブログサイト ネットワンパートナーズ株式会社ブログサイト





砂川 豊 (すながわ ゆたか)

砂川 豊 (すながわ ゆたか)

メインフレームやクライアントサーバ構築、業務システム構築の経験を経て、ネットワークエンジニアとして多くの提案や導入に従事。2015年からIoT推進をメインに活動中。
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