
実践! Cisco Smart License(スマートライセンス)第10回
前回のブログに続き、シスコ社の次世代ルータ製品 Cisco 8000 シリーズ Secure Router を自立モード(Autonomous mode)で使用する際のスマートライセンスの利用方法について解説します。今回はオフライン展開向けの SLR(Specific License Reservation)方式でのスマートライセンスの利用方法を紹介します。
目次[非表示]
スマートライセンスについて
スマートライセンスは、シスコ社が提供するクラウド管理型の電子化されたライセンスです。スマートライセンスの概要を別ブログで簡単に紹介していますので、詳細はそちらをご参照ください。
Cisco 8000 シリーズ Secure Router のライセンスについて
Cisco 8000 シリーズ Secure Router(以下、セキュアルータ)のハードウェアには、デバイスの基本的な機能を提供するライセンスソフトウェア Cisco Routing OS Essentials が付属しています。
Cisco Routing OS Essentials では、自立モードでルータを使用する際に基本的なルーティング機能をサポートし、暗号化スループットは 250 Mbps に制限されます。
また、オプションのサブスクリプションライセンスが用意されており、ルータの用途に応じて追加できます。

従来型ルーティング用途で導入する場合
Cisco Routing OS Essentials の機能で要件を満たしている場合は、オプションの追加なしでそのまま利用することができます。
自立モードで高度なルーティング機能を利用したい場合や、250 Mbps を超える暗号化スループットが必要な場合は、オプションで Cisco Routing Advantage を追加します。
SD-WAN 用途で導入する場合
SD-WAN で利用する場合は、Cisco WAN Essentials または Advantage ライセンスを含む Cisco Networking Subscription を追加します。
ライセンスとデバイスはプラットフォームクラスごとにグループ化されており、例えば C8100-G2 シリーズは Small クラス、C8200-G2 シリーズは Medium クラスというように分類されます。
同じプラットフォームクラス内のデバイス間では、ライセンスポータビリティがサポートされています。
Cisco 8000 シリーズ Secure Router を自立モードで利用する際のスマートライセンス
ここからは、自立モードで動作するセキュアルータのスマートライセンスの利用方法を解説していきます。
Cisco Routing OS Essentials を利用する場合
ハードウェアに標準で含まれる Cisco Routing OS Essentials は CSSM へのライセンス振り込みがなく、ライセンス使用状況のレポートも必要ありません。
そのため、Cisco Routing OS Essentials のまま利用する場合は、特別なライセンス操作は不要です。
*CSSM: Cisco Smart Software Manager - クラウド上で提供されるライセンス管理サーバ兼 Web ポータル
Cisco Routing Advantage を利用する場合
Cisco Routing Advantage を購入する際は、スマートアカウント/バーチャルアカウント(SA/VA)を指定します。購入したライセンスは、スマートライセンスとして CSSM の指定した SA/VA に振り込まれます。
セキュアルータでは、Smart Licensing Using Policy の仕組みを用いてスマートライセンスを運用します。
ライセンスのレポート方法には、次のような方法があります。
・直接展開: CSSM オンライン方式
・オンプレミス展開: CSLU 方式(Cisco SSM On-prem 含む)
・オフライン展開: SLR(Specific License Reservation)方式
直接展開とオンプレミス展開は、Catalyst 8000 シリーズなど前世代ルータと同様のレポート方法です。オフライン展開については、前世代ルータでは CSSM オフライン方式が使われていましたが、セキュアルータでは SLR 方式に変更されています。
また、前世代ルータでは、ライセンス認証は行わず、ライセンスの使用状況をレポートする仕組みでしたが、セキュアルータでは、ライセンスの使用状況の管理とライセンス認証を行う仕組みに変更されています。
今回は、オフライン展開の SLR 方式で Cisco Routing Advantage ライセンスを使用する方法を解説します。直接展開: CSSM オンライン方式については 第9回ブログ で解説していますので、そちらをご参照ください。
SLR 方式のスマートライセンス利用開始方法
SLR 方式でセキュアルータのスマートライセンス利用を開始する流れは、次のとおりです。
1.対象機器のスマートライセンス関連設定
2.対象機器で Request Code を生成
3.CSSM で Authorization Code を生成
4.対象機器でライセンス認証
1.対象機器のスマートライセンス関連設定
はじめに機器のライセンスレベルを確認します。

次に、対象機器で必要な設定を行います。
・license boot level advantage 設定で Cisco Routing Advantage ライセンスを有効化
・license smart reservation 設定で SLR を有効化
・license smart transport off に設定

設定内容を確認して保存したら、ライセンスレベル変更を反映するために機器を再起動します。

再起動後、ライセンスレベルは advantage に変更されます。
SLR 方式のライセンス認証が完了していない状態では、ライセンスステータスは NOT AUTHORIZED になります。

2.対象機器で Request Code を生成
次に、ライセンス認証用の Authorization Code 作成に必要となる Request Code を機器上で生成します。
Exec モードで次のコマンドを実行すると Request Code が表示されるので、その内容をコピーしておきます。
license smart reservation request local

3.CSSM で Authorization Code を生成
前の手順で生成した Request Code を使用して、ライセンス認証用の Authorization Code を生成します。
CSSM の Web ポータルである Cisco Software Central(https://software.cisco.com)にアクセスします。
画面上で次の手順に沿って操作し、対象のバーチャルアカウントでライセンス予約を行います。
① CSSM のトップ画面の「Manage licenses」(ライセンスの管理)をクリック
※対象スマートアカウント/バーチャルアカウント(SA/VA)の権限を持った CCO ID が必要です
② 「インベントリ」を選択
③ 「バーチャルアカウント」のドロップダウンリストから目的の VA を選択
④ 「ライセンス」を選択
⑤ 「ライセンスの予約」をクリック

スマートライセンスの予約ウィザードが開始されるので、必要な情報を入力します。
「予約要求コード」の欄に前の手順で生成した Request Code を入力し、「次へ」をクリックします。

次に 「特定ライセンス予約」 を選択し、対象機器で有効化しているライセンスの 「数量」 を入力して 「次へ」 をクリックします。
この例では、Routing Advantage for C8000 Secure Router, Small を 数量:1 で予約しています。

レビューと確認の画面が表示されるので、内容に誤りがなければ「承認コードの生成」をクリックします。

Authorization Code が作成されるので保存します。かなり長いテキストなので「ファイルとしてダウンロード」がおすすめです。ダウンロードが完了したら「閉じる」をクリックします。

CSSM でライセンス予約(Authorization Code 生成)が完了すると「製品インスタンス」画面に対象機器のエントリーが作成されます。これで CSSM でのライセンス予約操作は完了です。

4.対象機器でライセンス認証
対象機器で先ほど作成した Authorization Code を使い、次のコマンドを実行します。
license smart reservation install file <Authorization Code ファイルのパス>
この例では 、FTP を利用してファイルを直接転送しています。

コマンドを実行するとライセンス認証が行われて、ライセンスステータスが AUTHORIZED に変わります。Cisco Routing Advantage ライセンスが認証され、暗号化スループットの制限が解除されます。

これで SLR 方式でのスマートライセンス認証は完了です。
SLR 方式のスマートライセンス利用終了方法
ここからは、SLR 方式でセキュアルータのスマートライセンス利用を終了する方法を解説します。
手順の流れは、次のとおりです。
1.対象機器で Return Code を生成
2.CSSM で製品インスタンスを削除
1.対象機器で Return Code を生成
対象機器で次のコマンドを実行して Return Code を生成します。
license smart reservation return local
コマンドを実行すると、対象機器はライセンスの利用を終了します。
また、CSSM での製品インスタンス削除に必要な Return Code が表示されるので内容をコピーしておきます。

2.CSSM で製品インスタンスを削除
前の手順で生成した Return Code を使って、CSSM で製品インスタンスを削除します。
CSSM の「製品インスタンス」タブで、対象機器の「アクション」から「削除」を選択します。

表示された「予約の削除」画面で「予約戻りコード」に Return Code を入力し、「予約の削除」をクリックします。

製品インスタンスが削除され、対象機器で予約されていたライセンスが解放されます。


■ おわりに
今回は、Cisco 8000 シリーズ Secure Router の SLR 方式によるスマートライセンスの利用方法について紹介しました。
前世代ルータでは、オフライン展開向けに CSSM オフライン方式を使用しますが、セキュアルータでは SLR 方式になっています。製品シリーズにより方式が異なり、少し複雑になってきたと思いますのでご注意ください。
弊社ではご活用いただけるさまざまな情報をご用意しております。Cisco ネットワーク製品にご興味がありましたらぜひお気軽にお問い合わせください。
※ 内容や CSSM の画面等についてはアップデートや機能拡張により変更される可能性があります。もしメーカー情報と差分があった場合はメーカー情報を優先してください
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