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新人エンジニアの習熟過程記~Challenge Blog~

◼ はじめに

ネットワークの世界は、飛び込んで潜ってみると想像以上に構造に依存したものであり、難解かつ複雑なものだと感じています。新人が、机上の知識だけでネットワークの世界を理解するのはなかなか容易ではありません。機器は、設定一つで通信の振る舞いが変わり、ときには想定外の挙動を示します。このあたりは、実機を見て触って初めて分かることが多いものだと感じています。筆者は、2026年6月にネットワンパートナーズ株式会社のセールスエンジニアリング部に配属され、下期に複数のチームを横断して当部の業務の全体を把握するOJTを受けました。そこでの実務2例におけるSE作業の学びや気付き、並びにCEATEC(シーテック)2025の展示会を見学したときの感動を、いまの目線で降り返ってみたいと思います。本稿は “Beyond Challenge” 記事の第6弾です。

◼ 実機でのイメージ体得 ~検証環境編~

お客様への提案に向けた検証環境の構築や、既存のお客様向けの検証対応は、当部の第2チームが担当しています。ここでのOJTでは、既存のお客様向けの検証対応を経験させていただきました。特に詳しく言うと、筆者が『机上』で要件に基づいたコンフィグを作成し、それを検証環境の『実機』へ投入します。その後、投入コマンドによる『操作』、確認コマンドによる設定『確認』といった一連の作業を通じて、ネットワークへの理解を深めました。ここでいう「一連」とは、ネットワーク技術における作業の流れ(SE業務)はもちろん、ビジネスにおける役務の流れ(NOP業務)の両面を指します。これらを同時に経験できたことは、筆者にとって大きな意義がありました。このように一連の基本的な作業プロセスを理解したうえでも、現場では作成したコンフィグで実機が想定どおりに動作しないことがあります。コンフィグが間違っている場合は言うまでもありませんが、機器間の相互関係で問題が生じる場合もあります。一例を挙げると、ある日突然、特定の端末のみ通信不能となる事象が発生しました。調査の結果、通信機器が当該端末のIPアドレスに対して、本来とは異なるMACアドレスをARPテーブルに学習していることが原因でした。筆者はshow arp などのコマンドを用いて最終的に原因を特定することができましたが、調査には時間を要しました。その要因として、CCNAで学んだARPの仕組みを、実機の動作やコマンドと十分に結び付けて理解できていなかったことがあると感じています。一方で先輩方は、トラブルの特性から必要な確認ポイントやコマンドを即座に判断し、スムーズにトラブルシュートを進めていました。これは、設計、構築、トラブルシューティングなどを通じて、機能~動作~コマンドのつながりを具体的なイメージとして一気通貫して理解されているのだと確信しました。今回の経験を通じて、知識を単なる暗記にとどめるのではなく、実際の挙動と結び付けて理解する重要性を実感しました。

図1 「机上 → 実機 → 操作 → 確認」という流れでの体得

■コマンドによる影響範囲の理解 ~本番環境編~

次の実務では、データセンターの本番環境にコンフィグを投入する作業に同伴しました。一般に、データセンターでの作業は、作業影響に配慮して深夜に行います。ここで筆者は、先輩が投入するコンフィグの相互確認要員を担当しました。複数人による作業の相互確認は、人的ミスを防ぐための基本中の基本のプロセスです。この作業では、事前に作成されたコンフィグが現場でどのように扱われていくのかを間近に見ることができました。そして、他社の担当者様と場を同じくして作業を進める中、一つ一つの作業の隅々まで責任を負っているという現場ならではの緊張感を肌で感じました。この作業で印象的だったのは、「何も起きないことが成功」という考え方です。というのも、先述した疎通不良の場面ではコンフィグを投入することでエラーが解消され、通信が成立するなど、「変化」や「改善」が目に見える形で現れることが成功のサインでした。にもかかわらず、本番環境においては特に目立った変化や新たな事象が現れることはなく、作業は何事もなかったかのように進行していく様子に、同じコンフィグ投入にもかかわらず、動と静のようなギャップを感じました。

このことをベテランのエンジニアに言えば至極当たり前のことと言われてしまうかもしれません。しかしそのことがネットワーク新人の筆者からの視点としては新鮮に映りました。こうして本番のネットワークは、構成を変更していくなかでも、表面上、何ごともないように動き続けます。これを実現しているのは、作業の計画段階で細かな点まで注意を払って影響範囲を洗い出し、現場で計画しているコマンドをミスなく投入しているからです。そうしたユーザ視点では 「見えない側面」 を認識することもできました。

◼ 実践的に触れながら知識をアップデートし続ける姿勢 ~CEATEC編~

ICT関連の展示会で有名なのはInterop Tokyoですが、あいにく、開催時期の6月に研修が重なっていたので、代わりに10月開催のCEATEC 2025を見学してきました。この展示会は、毎年国内外から約800の企業・研究機関が参加する先端テクノロジーと社会・産業の未来をつなぐことをテーマにしており、多彩な分野で最前線の技術やソリューションを実感できる場として知られています。ここでは、「これから何が主流になっていくのか」というような、将来や可能性を感じさせる技術が数多く紹介されています。その中でも特に印象的だったのが、「音を触れるように感じる」というデモです。当初は未来的な演出の一つだろうと考えていましたが、実際に体験すると、空中で触れられるような感覚や押し返されるような触覚があり、自身の認識が揺らぐ不思議な体験となりました。こうした体験を通じて、触覚は必ずしも物理的な接触に限らず、刺激によって容易に知覚が誘導されることを実感しました。このように、本番環境の構築や検証環境で求められる「いまの手堅い技術」とは異なる世界を見ることが出来ました。もちろん、例に挙げた「音を触れるように感じる」というデモを含め紹介されている技術はネットワークに限るものではないので、全てが業務に直結するわけではありません。しかし、日進月歩以上の発展をしているICT領域で常に新しい技術に触れて知ろうとすることが、エンジニアとして大切な姿勢であることを学びました。こちらもWeb情報で知るだけでなく、実機(デモ)に触れることが重要だといえます。

◼ おわりに

筆者は、もともとインターネットやテクノロジーのICT技術に精通している人間ではありません。まずはじめに必要な、技術や機器の機能・操作をマスターし、さらにコンフィグから構築済み環境を読み解くスキルを習得しないといけません。このあたりは、時間を掛けて積み上げていくしかありませんが、その反面、 そうやって習得した技術がいつまで価値を持ち続けられるのかという不安もあります。こうした感覚は、常日頃、SEの皆様が感じていることの一つだと思います。しかし変化を前提とする業界に身を置く以上、学び続ける姿勢を持ち、知識・スキルを絶えずアップデートし続ける姿勢こそが重要となってくるのではないでしょうか。こうした前提に立ったうえで改めて考えると、冒頭で述べた「ネットワークは想像以上に構造に依存したものである」という点の重要性が、より強く実感されます。それは、個々の技術や実装は変化し続ける一方で、それらを支える基本的な構造や考え方は共通している部分が多いと感じたからです。ネットワークはその領域だけでも広がりや階層の構造を持ちますが、ICTの全領域では基盤構造体にもなっています。だからこそ、その構造を頭の中で整理しながら理解を深めていくことが、変化の激しい分野においても応用の利く力につながるのだと感じています。今回のOJTでの経験は、そうした視点の重要性を認識する契機となりました。この経験を礎に、変化を捉え続けながら、ネットワーク分野において価値を生み出し続けるエンジニアへと成長していきます。

大岡 響
大岡 響
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