
Interop Tokyo 2025 参加レポート:AI時代の脅威に立ち向かう「OPSWAT」の最前線
こんにちは!
ネットワンパートナーズでOPSWAT SEを担当しております、村野です。
2025年6月11日、幕張メッセで開催された Interop Tokyo 2025 に参加してきました。
今年のInteropでは、AIを活用したセキュリティやゼロトラストネットワーク、OT(Operational Technology)とITの融合といった最先端のテーマが目白押しでした!
その中でも特に印象的だったのが、OPSWATのグローバルソリューションエンジニア Yiyi氏による講演、「AIサイバー攻撃への切り札!世界初、セキュリティ製品のテストSE Labs及びSecureIQLABの2社から、マルウェアの脅威除去100%のテスト結果を取得したOPSWATとは?」です。
講演では、IT・OT双方にまたがる重要インフラの保護について、最新の技術と考え方を紹介していました。
講演を通じて、ITだけでなくOTセキュリティの重要性を改めて実感したため、本記事ではこの分野に焦点を当ててレポートしていきたいと思います!
☝講演を行うOPSWAT CPO(最高製品責任者)のYiyi氏
目次[非表示]
日本に迫るサイバー脅威とOPSWATのミッション
講演はまず、世界中で深刻化するサイバー攻撃の現状から始まりました。
日本国内でも、IPA(情報処理推進機構)が発表する「情報セキュリティ10大脅威」にあるように、特に重要インフラを狙った攻撃リスクが年々増しているとのこと。
こうした脅威に対し、OPSWATは「Trust No File, Trust No Device, Trust No Network」というゼロトラストの思想をベースに、重要インフラの保護をミッションに掲げています。
複雑化する重要インフラと向き合うOPSWAT独自技術
電力、ガス、水道、通信、医療など15分野にわたる重要インフラでは、ITとOTの融合が進む一方で、技術ギャップや人材不足といった課題が深刻化しています。加えて、クラウド活用やリモートワークの普及により、従来の境界型セキュリティでは対応しきれないリスクも増大しています。
こうした複雑な環境と多様な脅威に対し、OPSWATは独自の技術でこれらの課題解決に挑んでいます。
※本スライドは、OPSWAT社より掲載許可を得た上で引用しています。
引用元:Interop Tokyo 2025 OPSWAT講演資料(2025年6月11日)
■メタスキャン(マルチスキャン)
単一のアンチウイルスエンジンでは見逃される脅威も、複数エンジンで同時スキャンすることで検知精度を大幅に向上。予防型のアプローチです。
■ DEEP CDR(無害化技術)
ファイル内の潜在的な脅威要素(埋め込みオブジェクトなど)を完全に再構築・無害化。特に複雑なファイル形式やゼロデイ攻撃にも有効です。
■ アダプティブ サンドボックス
AIベースのエミュレーションにより、未知のマルウェアの挙動を検出。従来の静的検査では難しいケースもカバーできます。
■プロアクティブ DLP (機密データ転送)
医療や金融業界の規制に対応し、安全かつプライバシーを確保したデータ転送技術を提供しています。
■ SBOMと脆弱性管理評価
ソフトウェア部品表(SBOM)の導入支援により、ソフトウェアサプライチェーンの透明性を確保。経済産業省が公表している「ソフトウェア管理に向けた SBOM(Software Bill of Materials)の 導入に関する手引 ver2.0」にも準拠しています。
上記の技術内容については、過去ブログをご参照下さい!
サイバー攻撃の矛先は「現場」へ─止めないためのOTセキュリティ
OPSWATが講演で強調していたのは、サイバー攻撃の対象がITからOT(Operational Technology)へとシフトしているという現実です。かつては個人情報の窃取や金銭目的の攻撃が主流でしたが、現在は電力・水道・通信といった社会インフラそのものを停止させることを狙った攻撃が増加しています。
特に日本では、ライフラインのデジタル化が進む一方で、OT領域のセキュリティ対策が十分に整っていないという課題が浮き彫りになっています。
こうした状況の中で、OTセキュリティにおける本質は「守る」こと以上に、「止めない」ことです。IT環境と異なり、OTでは可用性が最優先されます。セキュリティを強化した結果、製造ラインが停止したり、遠隔地の設備にアクセスできなくなるようでは本末転倒です。
OPSWATのアプローチは、まさにこの「現場を止めない」というニーズに応えるものであり、現実の運用とセキュリティのバランスをどう両立させるかという視点に立ったソリューションを展開しています。
OPSWATによるOT保護の中核製品
引用元:Interop Tokyo 2025 OPSWAT講演資料(2025年6月11日)
■ MetaDefender Drive
OT環境はインターネットから隔離されたネットワークが多く、アップデートや設定変更の際に持ち込みデバイスを使用せざるを得ないことがあります。MetaDefender Driveは、USBメモリを接続してPCをブートすることで、OSを起動させずにマルウェアスキャンや脆弱性チェックを実行できる、ポータブルなセキュリティツールです。
■ MetaDefender Kiosk
USBメモリや外付けHDDなどの持ち込みメディアを安全にOT環境へ持ち込むためのスキャンステーションです。現場では「USB使用禁止」というポリシーがあっても、実際には使用せざるを得ないケースが多く存在します。Kioskはこうした現実に対応し、メディア内のファイルをスキャン・無害化(CDR)し、安全な状態にしてから受け入れることが可能です。工場のロビーや出入口など、人の流れが発生する場所に設置されることが多く、「入口のセキュリティ」を担う重要な製品です。
■ Netwall&FEND
OT環境を外部のリスクから隔離するためには、物理的な一方向通信が最も確実な手段です。NetwallおよびFEDはいわゆるデータダイオード製品です。データダイオードは、ITネットワークからOTネットワークへの一方向データ転送を可能にし、人的ミスや設定ミスによる「逆流」を物理的に遮断します。発電所など、アクセス制限が極めて厳しい施設でも、パッチファイルやログの安全な持ち込みを可能にし、停止なしでセキュリティを維持できるのが特長です。
■ OT Security
産業用ネットワークに特化したパッシブ型およびアクティブ型のセキュリティソリューションで、産業用プロトコルに対応したIDS(侵入検知システム)として動作します。通信のミラーを監視することで、機器やプロトコルの振る舞いを可視化し、異常検知や資産の自動識別を実現します。
■ Industrial Firewall
従来のITファイアウォールでは対応できない、OT特有の産業用プロトコル(Modbus, OPC UA, DNP3など)に対応しています。通信内容をプロトコルレベルで理解し、異常なコマンド送信や不正な挙動をリアルタイムに検出・遮断します。能動的な防御により、マルウェアの拡散防止だけでなく、人的ミス(誤送信コマンド)なども含めた多層的な防御が可能です。
OPSWATでは、今回紹介したKioskやDrive、データダイオード、Industrial FirewallなどのOT向け製品を実際に展示・デモ体験できる「CIPラボ(Critical Infrastructure Protection Lab)」を、グローバル各地の拠点に設置しています。「どんな製品なのか」「どう動くのか」を、資料だけでなく実際に目で見て確かめたいという方には最適な環境です。
そして、日本国内ではOPSWAT本社以外で唯一、弊社イノベーションセンターにCIPラボが常設されています!
見てみたい!触ってみたい!という方は、お気軽にお問い合わせください。
まとめ:どんな環境でも「止めずに守る」セキュリティ
Yiyi氏は最後に、次のような言葉で講演を締めくくりました。
「OT環境がなくても、“セキュリティレベルの違う2つのネットワーク”があるなら、OPSWATのアーキテクチャは活きる」
これは製造業だけでなく、オフィスや行政・教育機関にも適用できる考え方です。
Interop Tokyo 2025で示されたのは、AI時代に必要な「セキュリティの当たり前」を現場ベースで再設計する力でした。
弊社ネットワンパートナーズはOPSWAT JAPAN社の販売パートナーとして
これまで数多くのお客様、業種/業界へOPSWAT社製品を通じて「無害化」「ゼロトラスト」の実現を支援してまいりました。また、それ以外にも様々な角度からプロフェッショナルなセキュリティのご提案・販売支援をしております。
本ブログにてご紹介したソリューションの導入・販売・提案をご検討中のお客様は、ぜひお気軽に、弊社営業担当またはお問い合わせフォームまでご連絡ください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。