
TechDeskセミナー開催記~SEの顔出しエンドロール~
アイキャッチ: TechDeskセミナー for beginners Season2(第2回)の講演資料から
はじめに
わたしたちTechDeskチームは、パートナー企業様からの技術問い合わせ(以下、チケット)に対応する技術(SE)陣です。立ち位置を舞台演劇に例えると、照明・音響・美術(大道具・小道具)・衣裳といった裏方職人のようなものです。よって、舞台挨拶やカーテンコールで来場者にご挨拶する機会はほとんどありません。しかし、どの立ち位置であれ、お客様と対面でコミュニケーションを図るカスタマーフェーシングは、カスタマーエクスペリエンス(CX)おいて重要であり、そうした機会を意識して持つような創意工夫が求められます。
本稿では、映画の「顔出しエンドロール」や「生産者の顔が見える野菜」のように、職人が顔出ししながら責任を持って自身のスキルの一端を披露する場として開催した「TechDeskセミナー for beginners」について、その背景や狙いをお伝えしたいと思います。
なお、TechDeskセミナーはパートナー企業様向けの限定開催のため、本稿ではセッションのタイトルの紹介程度に留めることをご了承ください。
開催までの背景と経緯
ことの発端は、 2024年度に実施したカスタマーフェーシング強化策でした。TechDeskもアウトリーチ策として、営業やアカウント技術がパートナー企業様を訪問する際に同行させてもらっていました。しかしながら、訪問機会やお会いできるお客様(特にSE様)の人数は限られていました。当社のようなB2Bビジネスでは、当社営業とパートナー企業の営業様との関係が中心であり、技術と技術、それも私たちのような裏方の技術は更に距離を感じる存在です。無論、チケットではパートナー企業のSE様と直接コミュニケーションしていますが、一問一答での質疑応答をテキストベースでやり取りしていて、特段、相互で関係性を深めようという会話はありません。しかしながら、パートナー企業のSE様は「このチケット担当者は、いつも良い回答をしてくれるな」などの印象を持っていただいていると信じております。
そうした中、2024年の上期が終わろうとしていた9月、「もっと多くのパートナー企業のSE様とコンタクトするにはどうすべきか?」と考えました。そこで、月並みながらインリーチ策として、TechDeskならではの特色あるオンラインセミナーを開催し、そこに多くの方に集まっていただく方が効果があるのではないか、と思いました。この構想を、DevNetで対外セミナー開催の経験を持つチームメンバーの小堀に相談し、それならば下期早々に開催しようということになりました。よくある製品・技術セミナーとは趣向の違う、TechDeskならではの特色あるセミナーを意識し、次の内容を開催趣旨に据えています。
- Q&Aサポートに従事しているTechDesk所属メンバーが、業務の中で得た知識や経験を元に、様々なテーマで語る全8回のシリーズ
- 実践でしか経験できないことを我々TechDeskメンバーとパートナー企業のSEの皆様と共有
- 金曜日の夕方、カフェトークのように気軽に参加いただく
- 経験年数は不問。内容はビギナー向けだがベテランも歓迎
- 双方向での質問や意見歓迎
- 興味のある回だけ参加可能
- 毎回アンケートを実施(会社名・部署のみ)
※ 資料希望者は個人名・メールアドレスが必要
セミナーのタイトルを “for beginners” としているのは、開催要旨の4項目にもありますが、たとえば新入社員が4月の入社後の新人研修やOJTを経て、実践に入る時期とセミナーの開催時期が重なるため、新人を中心に響くセミナーにしたいとの思いからです。
セッション
2024年度下期の初回、2025年度下期の2回目(Season2)のセッションは、次のとおりです。

図1 TechDeskセミナー for beginners(2024年度)のセッション一覧

図2 TechDeskセミナー for beginners Season2(2025年度)のセッション一覧
セッションのテーマは、 TechDeskの初任者SE向けの教育資料(Foundation)や、日々のチケット対応から、現場SE視点で要求度合の高いものを選定しています(例: ワイヤレス、セキュリティ)。多彩なテーマを扱い、半期(約4か月)で全8回と数多く開催することで、どこかの回が皆様のご希望に沿うことを狙っています。また、TechDeskの若手SEによる対談・座談会を設けており、当社の等身大のSE像を知っていただくとともに、若手SEにとって公開の場で話す経験を積める機会になっています。さらに、基調講演として主要ベンダーのSEマネージャー様にもご登壇いただいています。これは、セミナーの盛り上げと、ベンダー様と当社との連携のアピールにもつながっています。
なお、毎回冒頭にTechDeskのサポートサービス条件や会員制ポータルサイト「NOP TECH INFO」の紹介や、他チームのセミナーの案内をしています。これらはいわば、映画の本編上映前の緒注意と近日公開作品の予告編のようなものでしょうか。
開催状況
2024年度の初回は、準備期間が短く急な開催でしたが、当社のメールマガジンによる紹介や、前述のようなセッションでの案内が功を奏し、多くのパートナー企業様にお集まりいただきました(28社、のべ180人)。その関心度の高さから2025年度に2回目(Season2)を開催する運びとなりました。前年の経験を生かして手際よく準備したこともあって、本稿を執筆している2025年12月末、第4回目の前半を終了した時点で、昨年度を上回る皆様にご参加いただいています(49社、のべ224人)。特筆すべきは、Season2の参加者の大半が、新規の方(前年度は不参加)であり、当初狙っていたインリーチ策での新たな層へのアプローチができていると感じられる点です。
また、私たちは事務局と登壇者の二役なのですが、事務局としては「金曜日の夕方に気軽に聞いてもらえるための1時間枠(実質45分強)」を意図していたものの、登壇者としては、この枠に実のある話を納めることにかなり難儀しました。興味深く聞いていただき、中身がしっかり伝わるよう話をまとめることの難しさを、改めて思い知った次第です。
技術経営での差別化の源泉の観点から
技術経営(MOT)では、差別化の源泉を「製品での差別化」と「組織能力での差別化」と二つに整理しています。 「製品での差別化」は、当社だけが取り扱う製品はあるものの、多くは他社でも扱えるので十分とは言えません。一方、「組織能力での差別化」は、その三つの要素である「コア技術」「組織プロセス」「事業システム」のどれをとっても “NOPならでは” の強みがあり、ここが当社の差別化の軸だと確信しています。TechDeskがその一翼を担っていることは間違いないので、「裏方でしっかりやっていれば良い…」という消極的な考えを捨てて、もっと前面に出てパートナー企業様や業界に私たちの価値をアピールしていきたいと思っています。
おわりに
オンラインセミナーは全編を録画して、投影資料とともに全てのパートナー企業様に公開しています(会員制のポータルサイト「NOP TECH INFO」において)。ネットワンシステムズの社員にも視聴してもらったところ、早々に録画と投影資料の要望が届いたのは嬉しいことでした。
社会的交換理論(Social Exchange Theory)やリレーションシップバンキング(Relationship Banking)では、良い関係性は金銭と同じように貸し借り・蓄積ができるとしています。カスタマーフェーシングが、相互の信頼関係を構築するための最も有力な行動の一つであることは間違いありません。パートナー企業のすべてのSE様に、本セミナーにご参加いただけるものではありませんが、チケットの回答者名を見て「あのセミナーで話していた人かな」と気付いていただければ幸いです。
本セミナーは内外から高好評をいただいていますが、広く一般の技術者の皆様にご視聴いただけないのは残念です。ぜひ当社に案件をご相談いただき、TechDeskの技術サポートをセールス活動の強みにしていただければと思います。





