新卒配属のオンボーディングは如何にあるべきか ~NOP流の取り組み~
はじめに
ネットワングループの一員であるネットワンパートナーズ株式会社(以下、当社又はNOPという)では、2024年度の新入社員として営業2名と技術5名の計7名が配属されました。
さて、現場の多忙、人員不足の折、配属されたニューフェイスには一日も早く業務に従事してほしいところです。しかし、幅広い分野で学んだ者から採用しようとする「多様性」と、ICT分野で求められる「専門性」とは、相反・隔たりがあります。そこで当社では、配属後の教育・訓練はより丁寧に、それもいきなり業務実践ではなく、前段階としての組織習熟、いわゆるオンボーディングを行うことが「早期立ち上がりと定着」には不可欠と考えています。
当社では、4月頭から5月末までの2か月にネットワングループ全体共通の新人研修を行い、配属直後の6月頭から9月末までの4か月間に「新卒OJT」と称してセールスエンジニアリング部の専門チーム(事務局)が、新卒配属者(営業・技術とも)に、共通カリキュラムで教育・指導しています。この取り組みには、ネットワングループ全体共通の新人研修の後に、更に部門での新人研修を行うような冗長さがありますが、「急がば回れ」の格言のとおり、10月1日からの配属部門でのパフォーマンス発揮のために、とても良い効果を上げていると自負しています。本稿では、この取り組みについて紹介したいと思います。
カリキュラムとコンセプト
本カリキュラムは、①コミュニケーション、②座学、③実習 の三つのカテゴリで構成されています。前述のとおり、営業・技術の職種によらず共通カリキュラムで実施しています。これには、次の意図があります。
- 新卒同期メンバー間での安心・和を作る ※出社、対面重視
- 当社社員としての、職種に依存しない 「営業・技術」の基礎・基本を身に着ける
- 研修一般における、受け身姿勢、業務との乖離による現実味の薄れを排除する
このカリキュラムとコンセプトによって、「全社共通の新人研修」と「実業務の習熟」の中間に位置するオンボーディングを実現します。オンボーディングというと、どこか乗客として乗船するイメージがありますが、当社社員はサービス提供者であり「乗員」でなければなりません。つまり、「新卒OJT」は、差し当たり業務に従事する前の「地上訓練」「訓練航海」といったところでしょうか。
スケジュールと運営
図に、2024年度 新卒OJTの科目とスケジュール(概要)に示します。事務局が計画したカリキュラムのほか、ネットワングループ全体又は当社による研修等もあるので、それとの重複を避けています。加えて、ネットワングループは健康経営優良法人2024(大規模法人部門)の一員であり、規定の健康診断を期間内に全員確実に受診してもらうために、これもスケジュール(指定日)に組み込んでいます。
事務局メンバーは、定例会議(週次)で、進捗の確認と日程の微調整を行っているのですが、それでも当日の急な割り込みの所用、科目の取り消し・延期が避けられません。よって、カリキュラムの進行には臨機応変さが求められ、もし空き時間が出来れば、予め準備している座学(その他)を随時開催するなど、新卒者が「自習による放置」にならないように配慮・工夫しています。
また、研修会場にはイノベーションセンター(netone valley)を活用しています。ここには講師のほかに、事務局も常に傍にいて目配りをしています。
図 2024年度 新卒OJTの科目とスケジュール(概要)
新卒OJTの後は
新卒OJTを終えて10月1日、新卒者は全員、配属部門に戻って本業をスタートします。営業配属者の活躍の場の説明は別の機会に譲るとして、ここでは技術配属者のその後について説明しておきましょう。
技術は全員、セールスエンジニアリング部 第4チームの “TechDesk” のメンバーに配置されます。ここは、パートナー様からの技術問い合わせを担当するチームです。セールスエンジニアリング部には、ほかに、テクノロジー担当(製品・技術)、テクニカルセールス担当、テクニカルサービス担当の機能組織があるのですが、なぜ、TechDeskに配属するのでしょうか。それは、「新規雇用者をサステインド・エンジニアリングチーム(SE)に配属して、プロダクトの知識を養わせ、コアエンジニアリングチームのシニアメンバーにSEチームのメンバーやコーチを持ち回りをさせること」がお勧めである、と名著 * にあるとおりだからです。まさにTechDeskには、この運営体制があります。そして、パートナー様やメーカー様等とのビジネスコミュニケーション、自己調査能力などを実践で鍛えられる場であることにほかなりません。それゆえに、TechDeskは、NOPセールスエンジニアリング部の技術者の登竜門、すなわち技術者としてのキャリアパスのスタート地点として位置付けられているのです。
* Eric Brechner; 著書 Agile Project Management with Kanbanからの引用
終わりに
この記事を書いている7月末は、「新卒OJT」の中間地点です。カリキュラムの科目数は、詰め込みにならないようにすることと、放置になってはいけないことの塩梅が微妙であり、いざスケジュールを組んでみると密度が高くなりがちでした。それでも、新卒の皆さんは、会社・組織、そしてカリキュラムの取り組みにも慣れてきて、日々、笑顔がこぼれています。ネットワングループが社員の行動指針として掲げる7つのWAYの1つに「ワクワクを広げる」がありますが、ワクワクの前には楽しみながら仕事をする笑顔が不可欠です。
最後に、彼等彼女等の姿を紹介して、本稿の締め括りとします。
FY24新卒OJT事務局メンバー:
内田、北本、小堀、林、野里、槌井(以上、セールスエンジニアリング部)、今井(西日本営業部)
写真 2024年度NOP新卒メンバーの皆さん
後列(技術配属): 伊藤、呉、大霜、本間、山﨑
前列(営業配属): 後、竹内
イノベーションセンター(netone valley)5階 INFORMATION HUBで撮影