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説明しよう!高密度検証

Wi-Fi大好きの皆様、初めまして。

大阪生まれネットワンパートナーズSE部新人の近藤です!

フィジーカーを目指し筋肉トレーニングに打ち明けています。

最近、私の筋肉トレンドは三角筋です。アップライトロウにはまっています。(よ!肩メロン!)

参考資料:アップライトロウ

肩のシルエットで年収が決まると信じています。

そんな私ですが、、、やる気、元気、Meraki!!!!

9月から無線チームに加わり、主にCisco Meraki製品の技術担当として頑張っております!


目次[非表示]

  1. 1.■はじめに
  2. 2.■検証環境
  3. 3.■結果
    1. 3.1.◆総スループット値
    2. 3.2.◆高密度環境耐性
  4. 4.■結果考察
  5. 5.■終わりに


■はじめに

さて、早速ですが、

9月に弊社では第三回目となる『高密度環境wi-fi検証』を行いました!!


「高密度環境wi-fi検証ってなんやねん」と思いの皆様、

一言で言いますと….

1台のアクセスポイント本体 vs 多数クライアント

シルヴェスター・スタローン主演映画の「ランボー」状態です。


そして今回多数クライアント端末にはあのかの有名なiPad第5世代を50台!!!

見たことの無い量のiPadが届きました。。。


そして今回の参加アクセスポイント(AP)メーカーですが、

Cisco(Aironet),Cisco Meraki, Ruckus, Mist, H社, D社, B社, I社から多く出場しました!!


参加アクセスポイント(AP)メーカー


どこもWi-Fiで有名なところばかりです!!(一部伏せております)

まるでフィジーク界でいうSteve Cook、Jeff Seid、湯浅幸大、エドワード加藤、、、、、

感動ですね。



■検証環境

そして今回の検証は弊社テクニカルセンターの一室で行いました。

下写真が今回の検証環境です!!!

検証環境


アクセスポイント(AP)をクライアント50台達の中心に設置し(天井ではなく申し訳ありません)、

APからクライアントにおける総スループット値を計測しました!

今回の検証ではトラフィック負荷ツールiperf3を用いました。

下記は検証におけるネットワーク構成を表しています。

検証におけるネットワーク構成

この構成でiPadを1台、10台、20台、30台、40台、50台と計測していきました。

これがかなり時間が掛かりました、、、iperfアプリが落ちたりなどで、、

詳細設定などは表1にて記載しています!


・パラメーター表

パラメーター表

※1  Cisco(Aironet),Cisco Meraki, Ruckus, Mist, H社, D社, B社, I社

※2 各APにおける最大出力

そして気になるそれぞれのメーカーからの参加AP達です!!

検証機器


使用機器モデル写真

(警察が押収した窃盗物みたいになっていますがお許しください。)



■結果

そして気になる結果ですが・・・・・・

簡潔に紹介します!!!

まず、今回の検証において知りたいキーワードは2つあります。

総スループット値

高密度環境耐性

この二つの観点から結果を述べていきます!


◆総スループット値

クライアントを1台、10台、20台、30台、40台、50台とそれぞれで測った総スループット値を平均した値を基に結果を評価します!

主に上位にはMeraki、Ruckus、ARUBA、Mist などのハイエンドモデルが多く出てきました!!流石です。

そして続くようにAironetが出ました!


検証結果:上位


(キレてる!キレてる!)


下位にはホテル向けAPである、MR30H, H510などがありました。(詳細なデータは直接弊社までお問い合わせください。)

そしてRuckusのUnleashedとAironetのAir Time Fairnessもスループット検証を行いました。


・Ruckus Unleashed

Ruckus R310においてデフォルトOS (Zoneflex)とAP自身がコントローラーとなるUnleashedの二つのOSで測定しました。

AP同士でシステム管理を行うため自立型では行えなかった機能が使えるOSです。

総スループット値はZoneflex > Unleashedとなりました。

これはAP自体がコントローラーとなり処理分散が行われるためスループットが下がると予測されておりました。実測を確認したところやはり想定内の通り低いスループットを確認しました。

参考資料:Ruckus Unleashed

NOPエンジニアBlog(Ruckus Unleashed)


・Aironet Air Time Fairness

Aironet 2702iではデフォルト設定と、独自の優先制御技術Air Time Fairness設定の二つで測定しました。

Air Time Fairness(ATF)は無線LANデバイスに対して均等に時間を割り当て、可能な限り公平な通信機会を与えようとするように動作する機能です。

ATFを有効にし測定しましたが、総スループット値はデフォルト設定時値に比べ約半分まで下がりました。。。

機能としてはしっかり働いており、クライアント毎のスループット値が平準化されることを確認しております。

参考資料:Cisco Air Time Fairness

ネットワンシステムズ(コラム)


◆高密度環境耐性

続いては、AP1台で何台まで対応できるかを評価します。

クライアントの接続台数を増やし、負荷をかけた状態で各クライアントのスループットを計測しています。

WEBブラウジングに必要となる帯域を0.5Mbpsと設定し、負荷をかけた際にスループットが0.5Mbps以下まで落ちるクライアントの台数が何台発生するかをカウントしました。

参考資料:高等教育機関向け高密度無線LANデザインガイド

上位にはRuckusとAironetが頭一つ抜けた結果となりました。


検証結果:上位

(ナイスバルク!!)

これらのAPはクライアントが40~50台の場合でも、0.5Mbps未満の端末は著しく少なかったです!!

これらのAPは、50台のクライアントが同時に1つのAPに接続して通信を発生させた場合においても0.5Mbps以下までスループットが落ちるクライアントはほとんどいませんでした。

中位には、Meraki、ARUBAがありました。

ここで総スループット値が上位であったMerakiはなぜ高密度において上位ではないの?

と、疑問に思うかもしれませんね。


説明しよう!!

クライアント毎にスループット値に偏りが発生しているからです。

よってスループット値が高い端末、低い端末が見られました。

下記グラフは現象イメージをグラフ化したものになります。


AP1台 vs A~Jの端末で同時に通信を行った際のスループット値を表しています。(値は仮想)

スループットが極端に高い端末がいれば、極端に低い端末が見られました。

このようにMerakiではクライアント毎のスループットにばらつきがあることが確認されました。


現象イメージ


これらの結果(総スループット値、高密度環境耐性)はボンディング無しの場合(使用チャネル幅20MHz)であり、ボンディング有り(使用チャネル幅40, 80MHz)の場合はどの機種においても通信可能端末は増え安定していました。

※ボンディングとは隣り合う2つのチャネルを使用し通信を行う技術です!!

論理的にはスループットは上がります。下図はボンディングを説明しています。

ボンディングの仕組み

しかしボンディングを使用すると、複数チャネルを使用するため、同じチャネルを使用する電波同士における干渉の原因にもなります。

よってセル設計に注意が必要になります。(80MHzは欲張りさんですね。)


チャネル干渉の原因

ボンディングを有効化することにより、総スループットが高くなります。そのため、0.5Mbps以下までスループットが落ちるクライアントの台数も顕著に少なります。



■結果考察

結局どのAPがいいの?と疑問に思いますよね!!

AP選定の参考になるように今回の検証結果から考察を書いていきますね!


・安定な通信を確立するには1APにつきクライアント30台を目途に設計を推奨します!

特にMerakiがスループットも高くお勧めです。

もし、クライアント数が40台を超える場合、RuckusかAironetをお勧めします。

安価なAP(B社, I社, D社)は総スループット値が低く、高密度の環境ではあまりお勧めしません。

小規模またはコンシューマー向けになります。


・もし設置済みのAPセル内にクライアントの台数が増えた場合は、ボンディングを使用しましょう。

結果からボンディングを使用すると総スループットが増加し、低速になるクライアントが減少していました。

しかし、先ほども記述しましたように、干渉しないように設計に注意が必要です。高密度になる環境のAPのみボンディングを使用し、それ以外はボンディング無し(20MHz)でデザインすることをお勧めします。


・ホテル向きのAP(Meraki MR30H, Ruckus H510)をホテル以外の環境で使用したい場合、ホテル向きのAPは1室1台を想定している為スループットは低いため、あまりお勧めできません。しかし、SMB、SOHO環境にはありですね!


・Merakiのようにクライアント毎にスループットに偏りがある場合、帯域制御(シェーピング)を使用すれば、クライアント毎に使用できる最大帯域に制限をかけられるため、偏りをなくしより多くのクライアントと安定した通信が可能になります。

しかし、AP毎に設定ができない場合があります。

Merakiの場合、シェーピング機能はSSID毎にしか設定できない為すべてのAPに反映されてしまいますので注意が必要です。



■終わりに

結論…

どのAPがずば抜けて良いというのはありませんでした。

長所もあり短所もあります。

今回は評価基準が「スループット」「高密度」という観点での結果となります。 Aironet は有線/無線含めた統合管理やサポート力 Ruckus は特許技術 BeamFlex によるアンテナ性能 Mist は Service Level Expectations や Dynamic Packet Capture によるこれまでに無い革新的なアーキテクチャ など、今回の評価基準では無い点でも、多くのメリットを提供出来ます。 ようするに、機器を選定する上では様々な観点がありますので、 私達はお客様の要望に沿う最適な製品を提案します。

また、今回の結果は弊社における環境の為、この結果がすべてではないと認識を頂ければと思います。

次回は、参加AP種類も増やし挑戦したいと考えています!

最後まで長きに渡り読んで頂きありがとうございます。

次回もお楽しみに!!!

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検証メンバー集合写真

検証メンバー集合写真


近藤 潤(こんどう じゅん)

近藤 潤(こんどう じゅん)

2017年4月 ネットワンシステムズ入社。入社後ネットワンパートナーズでCisco Meraki担当→ワイヤレス→セキュリティ製品PaloAltoを担当に。
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