TR-398でWi-Fi6のパフォーマンステスト
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はじめに
Cisco MerakiではWi-Fi6対応のラインアップも豊富にリリースされており、現在Wi-Fi5モデルからのリプレイスが進んでおります。Wi-Fi6ではOFDMAやUL MU-MIMO、1024-QAMの変調方式が実装されるなど、パフォーマンスを改善する機能が多く実装されています。本記事ではWi-Fi6 の性能試験についてご紹介いたします。
現時点でリリースされているWi-Fi6対応モデルは以下の通りです。
屋内Wi-Fi6対応モデル
MR36 |
2 ストリーム UL/DL MU-MIMO 802.11ax、最大 1.7 Gbps の集約フレーム レート |
MR44 |
4 ストリーム UL/DL MU-MIMO 802.11ax(5 GHz)、
2 ストリーム UL/DL MU-MIMO 802.11ax(2.4 GHz)、
最大3 Gbps の集約フレームレート
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MR46 |
4 ストリーム UL/DL MU-MIMO 802.11ax、最大3.5 Gbpsの集約フレームレート |
MR46E |
4 ストリーム UL/DL MU-MIMO 802.11ax、最大3.5 Gbpsの集約フレームレート 外部アンテナ対応モデル |
MR56 |
8 ストリーム UL/DL MU-MIMO 802.11ax、最大5.9 Gbpsの集約フレームレート |
屋外Wi-Fi6対応モデル
MR76 |
2 ストリーム UL/DL MU-MIMO 802.11ax、最大 1.7 Gbps の集約フレームレート 外部アンテナ対応モデル |
MR86 |
4 ストリーム UL/DL MU-MIMO 802.11ax、最大3.5 Gbpsの集約フレームレート 外部アンテナ対応モデル |
弊社WLANチームメンバーでも過去に複数のクライアントが繋がる高密度環境でスループット測定テストを何度か実施してきました。その都度、iPadを50台から60台レンタルし、一斉に負荷をかけるという試験を実施しています。これがなかなかけっこう大変なリソースと労力がかかります。
IT製品の品質検証や規格認証、総合的な第三者検証ソリューションを提供するアリオン社
そこで今回は「TR-398」というWi-Fi性能試験の標準規格テストをアリオン社さんに依頼しました。
アリオン株式会社 ホームページ
いままで弊社で実施している試験では、
・クライアント端末が〇〇台接続した状態での最大スループット
・その中で通信が出来ない(xxMbps以下)クライアント端末の台数
の2項目で測定するのが限界ですが、Wi-Fi性能試験の標準規格である「TR-398」では他にも様々なアプローチからWi-Fi通信のパフォーマンス試験が行えます。
アリオン社さんでは皆様もおなじみの「Wi-Fi Alliance(WFA)認定テスト」を実施されています。他にもオートモーティブ分野での標準規格の検証やLPWAの認証プログラムなど、さまざまな分野での検証テストを得意とされています。
「TR-398」はWi-Fiの性能試験の標準規格
TR-398(正式名称:TR-398 Wi-Fi In-Premises Performance Testing )についてはBroadband Forum(BBF)が策定した標準規格です。TR-398が試験対象とする「性能」とは、以下の6つのキーワードで安定してスループットが出るか?を測定するものです。
1. RF Performance: 無線能力
2. Bandwidth: 帯域幅
3. Coverage:カバレッジ
4. Capacity:キャパシティ
5. Stability: 安定性
6. Interference: 干渉
Source: Broadband Forum
Wi-Fi Alliance(WFA)認定テストでは「接続性」を試験するものですが、TR-398では「性能」を試験する内容となっています。実際の試験では、Octoscope社のOctoBoxソリューションを使って疑似的に仮想端末やWi-Fiの遅延環境を作り出し、それぞれのケースで試験を行います。
https://www.allion.co.jp/certification/bbf398/
今回テストを実施したレポート内容
今回ネットワンパートナーズでは、MerakiのMR36、MR44、MR46を用いて以下のテストを実施しました。
6.2.1 最大接続テスト
クライアント32台を同じAPに接続できることを測定
6.2.2 最大スループット テスト
アクセスポイントの最大スループットパフォーマンスを測定
6.2.4 デュアルバンドスループットテスト
2.4GHz帯と5GHz帯域の両方で複数のクライアントを同時に接続させスループットを測定
6.2.5 双方向スループットテスト
アクセスポイントとクライアント間のアップリンクとダウンリンクの同時スループットを測定
6.3.1 レンジ対レートテスト
アクセスポイントの信号を減衰させることにより、異なる距離をシュミレートさせスループットを測定
6.3.2 空間整合性テスト
30度刻みの12方向でスループットを計測し、指向性の整合性を測定(MRでは円に近い形が理想とされます。)
6.5.2 アクセスポイント共存試験
干渉するアクセスポイントの存在下でのパフォーマンスを測定
といった内容で実施しています。これらの試験結果を元に適切なモデルを選定頂くことが可能です。残念ながら結果についてはブログ上では公開できませんが、案件ベースで必要な場合は担当営業までご連絡ください。
今後ともCisco MerakiのWi-Fi6モデルを宜しくお願い致します!