ハノーファー・メッセ 2016 参加レポート~盛り上がる Industrie 4.0
IoT・コネクテッドファクトリを担当している、マーケティング&ビジネス開発部の長澤です。
皆さん、ゴールデンウィークはご旅行などされましたでしょうか。
私は一足先に、連休前の 4月25日(月)~29日(金)、駆け足ですが、ドイツのハノーバー(ドイツ語読みですと「ハノーファー」なので、以下ハノーファーで統一します)で開催された、世界最大級の産業見本市に行く機会を頂きました。
今回はそのレポートをお届けします。
* 写真:本物そっくり(?)の、偽オバマ大統領(中)と偽メルケル首相(右)。左のシークレットサービスの方も本物みたい。
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■世界最大級の産業見本市「ハノーファー・メッセ」
ちなみに皆さん、そもそもこのハノーファーという地が、ドイツのどの辺りにあるか、おわかりですか? ブンデスリーガー香川真司がいるあのドルトムントよりも、もう少し北の方。
大変活気のある大きな都市です。
この展示会の期間中、ハノーファー周辺の宿泊施設は一泊10万円程度に高騰するため、さらに北の音楽隊で有名なブレーメンに宿泊し、毎日2時間かけて、展示会通いとなりました。
私たちIT業界の人にはあまり耳慣れない「ハノーファー・メッセ」という展示会ですが、とにかく、広いです。 どれだけ広いかというと、ゾーン分けされたエリアが16もあって、しかも一つのエリアが日本の展示会いっこ分くらい(*)。
(*)個人的な感覚ですが、会場全体は、昨年12月に弊社も出展した SCF(システムコントロールフェア 2015/東京ビッグサイト) にロボット展を加えた広さの、約 5倍くらいはあったのかなと思います。
ハノーファー・メッセの公式サイトはこちらです。毎年4月に開催。出展社数は約 6500社となります。
会場まで街をあげて一大イベントムードに包まれていました。Hannover Messe/Laatzen station 駅から会場までは、歩いて約15分の距離。
冒頭でも偽のオバマ大統領とメルケル首相の写真をお見せしましたが、今年はアメリカ合衆国がパートナー国となっていました。
ちょっとした業界ネタですが、RAMI4.0 と IIRA (両方とも製造業向けのリファレンスアーキテクチャだと思ってください。)の対比を公表するなど、ドイツ-アメリカの製造業強化連携をさらに固いものとしています。
今年はなんと、4/24の開催前夜祭、4/25の開会初日の二日間もオバマ大統領が登壇をしています。一国の見本市に二日もアメリカの大統領が顔を出す、これが、Industrie 4.0 の今なだと強く感じます。
■ 一番の盛り上がりは、Automaiton/IT
さて、ここからはほんの一部ではありますが、展示の様子をお伝えしていきます。
●Automaiton/IT
大規模なブースも多く、このコーナーが最も華やかな印象を受けました。全体を通して、IT利活用を提案していない企業ブースにはほとんど人が来ていない様子。
レガシーな技術はもう当たり前であり、次の一手が何かということでを探しに来ている人が多いように思えました。
シーメンスに代表される制御系のメーカーが数多く出展されていました。
会期中に発表されたトヨタ自動車の EtherCAT 標準化宣言はすでに、日本のFA業界で、大きな反響を呼んでいます。
ロボットやサーボモーターのメーカー、LENDS、DELATA、KIWI、FESTOといったあまり日本の展示会では見かけない会社が大きくブースを出しているのも印象的でした。
経済産業省のもどづくり白書などで言われるラインビルダーという会社はこういった会社なのかな?
AGV(Automated Guided Vehicle:無人搬送車)の進化系のようなロボットや、ウェアラブルカメラを使ったシミュレーション、ウェアラブル端末を利用した現場管理などの提案もお見かけしました。。
●デジタルファクトリー
IBM、アクセンチュア、SAP、Microsoft、Cisco、AutoDesk、ダッソー、アクセンチュア、などなどUS系のメーカーが多く、いわゆる「ITジャイアント」たちのブースが大変盛りあがっていました。
●エネルギー
PA(Process Automation)系はこちら。シュナイダー、ABB、ハネウェルあたりが有名どころ。GEもこちらのブースにいたと記憶しています。
Automation/ITのところと比べると、具体的な制御盤を含めた展示旧来のものが多いようで大手以外は人もまばらな感じでした。
■ 注目の3つのトレンド
~「IoT プラットフォーム」、「予知保全(Predictive Maintenance)」、「シミュレーション(Simulation)」
●「IoT プラットフォーム」
Microsoft、ボッシュ、GE、SAPなどはこぞって IoT プラットフォーム(各社にて主に、自社のクラウドデータを解析、ダッシュボードを使った見える化、予兆検知などを行う仕組み)を大々的にアピールしていていました。 昨年末のシステムコントロールフェアや、今年4月のDMS名古屋などの産業系の展示会で展開している規模と比べるとはるかに大きなブースで日本での取り組みとの違いを感じました。
● 予知保全(Predictive Maintenance)
IoT プラットフォームの活用事例のほとんどが、予知保全(Predictive Maintenance)でした。主には、どのくらいのパフォーマンスで動いていて、あとどの程度で交換をした方が良いかをダッシュボードなどで活用するということを見せていました。
● シミュレーション(Simulation)
3D CAD を用いたシミュレーションや、ウェアラブル端末を用いたリモートメンテナンスの事例などが紹介されていました。
また、仮想空間上でシミュレートを行うことで大幅なリードタイムが減らせることも大きなメリットになります。こういったシミュレートされた内容を実環境に適用する、仮想と現実が双子のように活用される、いわゆるデジタルツインが今後、製造現場に波及していくことは間違いないだろうと改めて感じます。
■今回日本人として感じたこと
その他、ヨーロッパ(ドイツ)に来た外国人(日本人)として気になったのは、同じ外国人の参加者。アジア圏の方の比率は、なんとなくですが、中国50%、日本40%、その他10%くらいの印象でした。
出展社はアジアでも特に中国をターゲットに入れたビジネスをしていており、逆に、日本人へのアプローチは比較するとと弱いものを感じました。
日本から来ていた方は、上司と部下といったチームで動いていることが多く、産業を代表されるような大手企業のキーマンの参加も多かったようです。
そのような方々と同じ内容を見聞きができたので良かったと思う反面、海外から見た日本と中国のマーケットへのメッセージングや、海外の反応についての違いを目の当りにして、少なからず危機感を覚えました。
■最後に
私たちも、もっと具体的に実装していくための積極性が必要になるなと改めて思いました。
「ネットワークのチカラで日本の製造業を"もっと"強くする」を合言葉にネットワンパートナーズは引き続き、製造業のIoT化に取り組んでまります。
社員をこのような展示会に派遣した当社の本気も感じて頂けますと幸いです。
写真は、ブレーメンの街並み(左・中央)です。白夜のつづきなのか、20時くらいの写真です。 ブレーメンの音楽隊像もみましたがは残念ながら工事中の足場に囲まれていたので、割愛します。