
OPSWAT OP/X Tokyo 2026参加レポート:映画「Breaking the Firewall」とAI攻撃に備える最新ソリューション
先日、OPSWAT Japanが開催したイベント「OP/X Tokyo 2026」に参加してきました。
会場は神田スクエアホール、セッションはドキュメンタリー映画の上映から始まり、新製品のデモや講演と盛りだくさん。
特に印象に残ったのは映画「Breaking the Firewall」と、AIを活用した新しい防御ソリューション Alin AI(予測型AI)と MetaDefender Aether(イーサー:次世代サンドボックス)の紹介でした。
当日の印象と、講演の要点を分かりやすくお伝えできればと思います!
当日のプログラム内容は以下の通りです。
時間 | 項目 | 登壇者 |
1330- | 受付開始(神田スクエアホール) | |
1415-1420 | オープニングの挨拶 | Benny Czarny |
1420-1456 | ドキュメンタリー映画 ”Breaking the Firewall" 上映 | |
1456-1505 | 映画振り返り:ダイオードデモ | 野村秀貴 |
1505-1520 | 休憩(デモ、サイン会) | |
1520-1540 | 日本におけるAI駆動型防御 | 高松篤史 |
1540-1620 | ゼロデイ攻撃への備え:予測型AIアーキテクチャー | Benny Czarny |
1620-1650 | Alin AIならびにMetaDefender Aetherデモ | 野村秀貴 |
1650-1705 | 相撲パフォーマンス | |
1700-1730 | デモ, サイン会、写真撮影 |
映画「Breaking the Firewall」とダイオードデモ
映画は国家や組織を狙う大規模攻撃の実例を追ったドキュメンタリーで、サイバー攻撃のリアリティと被害の深刻さがよく伝わってきました。そもそもファイアウォールとは何か、といった初歩的な解説から、実用上での潜む危険性などが体感できるような内容になっており、セキュリティについて詳しくない方でもわかりやすい内容でした。上映後のダイオード(データ流出を防ぐ物理分離)のデモも印象的で、重要インフラやミッションクリティカルな環境では、ネットワーク分離やデータフロー制御の物理的対策の価値を再確認しました。
トレーラーも公開されており、今後本編も公開予定とのことですので、気になる方はぜひご覧下さい。
なお、続編も公開予定とのアナウンスがあり、今後の情報も追っていきたいところです!
上映とダイオードデモは主にOTやミッションクリティカルな環境向けの物理的対策がテーマでしたが、イベントの後半は一転して、AIを巡る脅威に対応するIT製品の紹介へと軸が移りました。
講演ではAIによる脅威の現状とそれに対するソフトウェア的対策の必要性についての説明があり、その中で新製品として2つのソリューション、Alin AI(予測型AI)とMetaDefender Aether(次世代サンドボックス)が発表されました!
Alin AI(予測型AI)のポイント
- 製品概要:Alin AIは「ファイル単位」での未知脅威検知に特化した予測型AIエンジンです。従来のAVとは違い、デバイス保護ではなくファイルの内容・構造そのものを理解して判定するために設計されています。
- 技術的アプローチ:ファイルタイプごとに学習したLLM(大規模言語モデル)を用い、受け取ったファイルを分解してテキスト・画像・スクリプト等の構成要素を解析します。マルチスキャンやサンドボックス(MetaDefender Aether)から得られるフィードバックを学習ループに取り込み、検出精度を継続的に向上させます。
- 利点:ミリ秒単位の迅速なスクリーニングが可能で、既存のシグネチャベースでは見逃されがちな未知の亜種やAI生成マルウェアの兆候を早期に察知できます。メール添付、ウェブダウンロード、外部メディア等、ファイルが入口となる場面に適しています。
- 運用イメージ:まず高速にファイルをスクリーニングし、疑わしいものはAI解析やサンドボックスに回す段階的検知モデル。将来的にはプラットフォームのネイティブ機能として統合され、既存ワークフローに組み込みやすい設計です。

MetaDefender Aether(イーサー:次世代サンドボックス)のポイント
- 製品概要:MetaDefender Aetherは従来型VM実行ベースのサンドボックスの課題を解消する次世代の解析エンジンで、エミュレーション(逆コンパイル/静的解析に近い)手法を中核とします。
- 技術的アプローチ:ファイルを強制実行するのではなく、コードや構造を解析して「どう振る舞うか」を再現的に評価します。これにより仮想マシン大量配備の必要がなく、サンドボックス検出・回避テクニックにも強い点が特徴です。
- 利点:高いスケーラビリティ(少ないリソースで多数の検体を解析)、サンドボックス回避の抑制、実行ファイルや複雑な攻撃ベクタの深堀りが可能。動的解析結果とレピュテーション、IOC、AI相関分析を組み合わせて、分析者が初動で必要とする情報を短時間で提供します。
- 運用形態:メタディフェンダーコアに組み込むエンベデッド型と、専用サーバと連携するリモート型の両方を提供。エンベデッドは導入が手軽、リモートは詳細レポートとスケール性に優れます。
- 補完関係:PE/EXE等、CDR単独では対処が難しい実行ファイル系の解析や、未知攻撃の挙動把握に威力を発揮し、Alin AIやDeep CDRと組み合わせて包括的なファイル防御を実現します。
Deep CDR(ファイル無害化)との補完
OPSWAT が長年提供してきた Deep CDR は、ファイルを分解して不要・有害なスクリプトや部品を除去し、安全なファイルを再構築する技術。OfficeやPDF 等の多くのファイルタイプに有効です。
実行ファイル(PE/EXE)は構造上の制約で単純なCDRでは対応できないため、MetaDefender Aetherのような解析手段と組み合わせることで包括的な防御が可能になります。
まとめ
映画で危機感を再認識し、Alin AI/MetaDefender Aether/Deep CDR の組み合わせで「ファイルを鵜呑みにしない」多層防御アーキテクチャが示されたのが非常にわかりやすく、参加者としても納得感が高かったです。特に「未知のゼロデイを前提にした設計(予測AI+CDR+エミュレーション解析)」は、現場で実際に役立つ現実的な防御戦略だと感じました。
- 市場ニーズの強さ:AIによる攻撃の自動化、ゼロデイの大量生成という脅威トレンドは、検知だけでなく事前無害化・高速解析を求める顧客ニーズを急速に拡大させています。金融・医療・製造・重要インフラといった縦軸市場での商談機会は大きいと思います。
- 差別化要素:Alin AIのファイル特化型LLM、MetaDefender Aetherのエミュレーション解析、Deep CDRの無害化という組合せは競合に対する明確な差別化が図れます。特に「ファイルを信頼しない」というゼロトラストの考えを技術的に実現している点は、現場担当者にも提案しやすい強い価値ポイントです。
【イベントの裏話】
会場ではOPSWAT CEO/創業者のBennyさんがご著書を配布しており、サイン会も実施しておりました。
また、元お相撲さんによる楽しいパフォーマンスもあり、会場は終始和やかな雰囲気でした。写真撮影やサイン会の時間もあったので、参加者同士で会話を楽しみながら交流を深めることができました。














